【2022年1月14日追記】日本政府は全ての国と地域から入国する帰国者・入国者に求めている自宅または宿泊施設での待機期間を、14日間から10日間へ短縮する措置を発表しました。新型コロナウィルス・オミクロン株の感染が支配的になっている国と地域からの帰国者・入国者が対象になります。
【2021年12月22日追記】アフリカ南部で発生した新種のコロナウィルス変異株(オミクロン株)の世界的感染拡大により、日本の水際対策は全面的に強化されることになりました。一連の水際対策緩和措置は停止され「年末年始の状況を見極めつつ当面の間、水際対策は延長」となります。その間、日本政府により外国人の新規入国は拒否され、行動制限緩和のための申請業務も停止されます。帰国するワクチン接種済の日本人・永住者に対する10日間への待機期間短縮措置も停止となり、帰国者は無条件で14日間自宅待機を行う必要があります。厚生労働省の発表はこちらを参照してください。
目次
日を追うごとに厳しくなる日本人帰国者に対する水際対策
アフリカ南部で発生した新種のコロナウィルス変異株(オミクロン株)の世界的感染拡大の影響により、日本政府は過去に前例がないほどのスピードで水際対策の強化に取り組んでいます。前政権時に、後手後手の水際対策を批判されていたことを受け、岸田政権ではかなり前掛かりな水際対策の強化措置を発令しています。今回の措置は年末年始の状況を見極めつつ当面の間、継続されます。変異株が確認され、新たな水際措置が発令された11月29日以降、連日に渡り変更・訂正・追加措置が行われており、日本政府の変異株に対する慎重な対応ぶりが伺えます。
国際線航空便新規予約の一律停止要請と要請の撤回
12月1日、国土交通省は水際対策強化の一環として、日本へ乗り入れる国際線航空便の新規予約を一律停止するよう、日系・外資系各航空会社へ要請し、日本航空と全日空を始めとする航空会社各社は予約の停止を実行しました。これにより、既に予約済航空券を所持している帰国予定者以外の在外日本人は、航空券の予約を行うことができなくなり、日本へ帰国する手段がなくなってしまいました。しかし、翌12月2日の時点で、松野官房長官は新規予約の一律停止要請を撤回する旨を発表しました。日替わりの変更に航空会社と帰国を予定している在外日本人は振り回されている状況です。
入国者総数制限
11月26日より、日本政府は日本へ到着する旅客の入国者総数を3,500人から5,000人に増加(緩和)させる施策を実施しました。しかし、新型変異株の出現により、11月29日より再び入国者総数を3,500人まで減少させることになりました。これも水際対策強化の一環として行われましたが、たった3日での方向転換に航空会社の座席コントロールは混乱しています。なお、入国者総数制限と航空便新規予約についての監督省庁は国土交通省になります。
外国人の新規入国停止と再入国原則拒否措置
日本政府は、11月30日以降12月31日までの間、162の国と地域に滞在歴のある外国人の新規入国を拒否する措置を発令しました。再入国許可証所持者と永住者・特別永住者はこの措置の対象外となりますが、入国前14日以内にアフリカ南部10か国に滞在歴のある外国人は、在留資格保持者であっても入国は拒否されます(再入国原則拒否措置)。WHO(世界保健機構)は、日本政府が発令した外国人の入国拒否に対して、「ウィルスは国籍や滞在許可証を見るわけではない」とコメントしており、「疫学的に理解困難だ」と日本政府の措置を批判しています。日本人帰国者も外国人も「外から内へ入る」ことに変わりはない訳で、入国後の隔離観察を厳正に行えば済む話であり、自国民か外国人かの2択で入国の可否を判断するのは矛盾していると言うのが、WHOの見解です。
増え続ける宿泊施設待機対象国
厚生労働省より「水際対策上特に対応すべき変異株」に対する指定国・地域に指定された国から帰国した場合は、検疫所が確保する宿泊施設で3日間~10日間待機(自己隔離)する必要があります。オミクロン株の感染拡大に伴い、指定国が日ごとに増えています。直近では韓国も新たに6日間の宿泊施設待機国に指定されました。指定国の一覧と定期的な検査についてはこちらを参照してください。
例外なき14日間自宅待機
米国など宿泊施設待機対象国以外の国から帰国する場合も、帰国日の翌日から起算して14日間は自宅待機(自己隔離)する必要があります。ワクチン接種が完了していても特例はありません。新型変異株が出現する以前は、徐々に緩和されつつあった自宅待機期間ですが、変異株のおかげで期間短縮のための緩和条件や申請手続きは、一旦全て停止になっています。当面の間は例外なく14日間待機しなければなりません。帰国者に対する待機中の行動監視は、厚生労働省が外部委託する「入国者健康確認センター」が一切を取り仕切っています。帰国時にインストールを強要されるMySOSアプリが待機中の行動を監視します。この監視アプリにはかなりの苦痛を強いられますが、厚労省では特に上記自宅待機要請国からの帰国者に対しては、健康フォローアップを強化する旨を発表しています。今まで以上に厳格な監視体制が敷かれる方向に進んでいます。
海外旅行はますます遠い存在へ
オミクロン株の感染拡大により世界中が警戒感を増しています。一旦は緩和の方向に向かった日本の水際対策も、変異株に翻弄されまた振り出しに戻ってしまいました。一連の日本政府(新政権)の動きの中で一つだけ確実になったことは、今後も「新種の変異株」が世界のどこかで発生する可能性が否定できない中、変異株が発生するたびに日本政府が前例のないほど迅速な水際対策を実施することを想定すると、来年(2022年)も海外旅行(特に観光旅行や団体旅行)の実施は避けた方が賢明だということです。今回、一人の陽性者が発生することにより、飛行機に同乗していた乗客全員が濃厚接触者として認定されたケースが2例出ています。仮に帰国後の空港検査の結果が陰性でも、宿泊施設への隔離を要請をされたと想定した場合、もし社員旅行の一行がこの飛行機に同乗していれば社員全員が2週間は隔離されてしまうわけで、その会社は機能しなくなってしまいます。
間もなく丸2年が経過し、年明けには3年目を迎える新型コロナウィルスとの闘いですが、まだまだ予断を許さない状況が続きます。