【2022年最新版】日本の水際対策、帰国前のPCR陰性証明書取得が不要に

出入国情報(日本)

日本政府は、2022年9月7日より日本帰国時に必須要件としていたPCR検査陰性証明書の取得を条件付きで免除する旨発表しました。

これまでは帰国便搭乗時刻の72時間前以降に検査したPCR検査陰性証明書の取得は、日本帰国時の絶対要件でした。9月7日以降、ワクチン接種を3回以上完了し有効なワクチン接種証明書を取得している帰国者・入国者に対して、この絶対要件が廃止されます。これにより、日本の水際対策は大幅に緩和されることになります。

極端な話ですが、海外渡航中に万が一コロナ発症した場合も、ワクチン接種証明書を取得していれば飛行機に乗って帰国することも可能になってしまいます。これは帰国者・入国者のモラルに関する問題となってきますが、症状が重くなく微熱がある程度なら、空港検疫で入国を拒否されることは無くなります。帰国後にスカイライナーやリムジンバス、在来線などの公共交通機関に乗って帰宅しても、誰も咎めることはできません。ある意味、日本政府は海外からのウイルス流入を黙認することになります。

国により陰性証明書取得免除の条件は異なります

厚生労働省は、世界各国をコロナウィルスの感染状況に応じて、青色・黄色・赤色の3つに区分けしています。赤色に指定される国は9月7日以降ゼロとなり、青色指定国が128カ国・地域に、黄色指定国が73カ国・地域へと変更されます。各国の区分けについては、こちらの資料を参照してください。アジア諸国では、インド・ベトナムが黄色国のまま据え置かれます。欧州諸国では、ポルトガル・リヒテンシュタインなどが黄色国として据え置かれます。また、グアム・サイパン(北マリアナ諸島)は、米国に準じる扱いとなり、青色国に指定されています。

厚生労働省がこだわるワクチン接種回数は「3回」

厚生労働省は、あくまでも3回以上ワクチン接種が完了していることを、水際対策緩和の大前提としています。厚生労働省・空港検疫が要求する「有効なワクチン接種証明書」とは、3回以上ワクチン接種が完了していることを証明する接種証明書になります。ワクチン接種回数が2回もしくはそれ以下の場合は、空港検疫上は「ワクチン未接種」と同様の扱いを受けることになります。くれぐれもご注意ください。

接種したワクチンの「種類」に注意が必要!

厚生労働省は、新型コロナウィルスワクチンの「種類」も細かく規定しています。ワクチン接種完了者として認められるワクチンの種類は以下の通りです。なお、厚生労働省が「有効」として認めるワクチンの中には、中国製のシノバックス・シノファームやロシア製のスプートニクは含まれていません。これらのワクチンを接種完了している渡航者は、空港検疫で「ワクチン未接種」と同様の扱いを受けますので、ご注意ください。厚生労働省が有効とみなす具体的なワクチン種別に関しては、こちらの資料を参照してください。

ワクチン名(通称)ワクチン名(正式名)備考
ファイザーCominaty筋注
モデルナSpikevax筋注
ノババックスNuvaxovid筋注
アストラゼネカVaxzevria筋注
ヤンセンJcovden筋注*注1
バーラトバイオテックCovaxin

*注1:ヤンセンを1回目に接種した場合は、1回の接種をもって2回相当分とみなします。

PCR検査・陰性証明書取得免除の条件

まず第一に、上記ワクチンを3回以上接種済であることが大前提となります。そして、各国政府など「公的な機関」で発行されたワクチン接種証明書を事前に取得する必要があります。ワクチン接種証明書の具体的な書式に関しては、こちらの資料を参照してください。日本人の場合は、市区町村が発行する「新型コロナウィルス感染症予防接種証明書」か、デジタル庁が発行する「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」が有効になります。接種証明書アプリに関する情報は、こちらを参照してください。

第二に、前出の青色国・黄色国の区分とワクチン接種の有無で帰国・入国時の空港検疫の審査経路は変わってきます。ワクチン未接種の帰国者・入国者は、引き続き出発前72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書を取得する必要があります。また、黄色国からの帰国・入国でワクチン未接種の場合、到着空港で抗原検査を行い、最大5日間の自宅待機を要請されます。

青色・黄色区分別の検疫措置に関しては、以下の厚労省発表資料を参照してください。


羽田空港検疫5

18歳未満の子供の扱い

厚労省のQ&Aによれば、「有効なワクチン接種証明書を保持していない18歳未満の子供については、有効な接種証明書を保持する同居する親等の監護者が同伴し、当該子供の行動管理を行っている場合は、特例的に、有効な接種証明書を保持する者として取り扱い、当該監護者と同様の陰性証明書の免除が認められることになります。」と役所言葉で書かれています。つまり親などの保護者と同行する18歳未満の子供は、保護者が有効なワクチン接種証明書を所有していれば、特例的に陰性証明書の取得は免除されると言うことです。ただし、18歳未満の子供が単独で入国する場合は、この特例は認められません。ワクチン接種を3回完了していない場合は、PCR陰性証明書を取得しなければなりません。

また、同伴する親などの保護者が、ワクチン接種証明書を所有せずに、PCR陰性証明書を取得して入国する場合は、6歳未満の未就学児に限り、陰性証明書の取得が免除されます。6歳以上の子供は保護者同様にPCR陰性証明書を取得しなければなりません。

ファストトラックとMySOSは継続へ

有効なワクチン接種証明書を帰国前に事前登録し、空港検疫所に認証してもらうことで到着空港での検疫審査は簡素化されます。また、ワクチン未接種者はこのシステムを通して、PCR検査陰性証明書の登録を行います。このためファストトラック制度は継続されます。ファストトラック申請は、MySOSという携帯アプリもしくはWEB申請によって行う必要があります。MySOSは、帰国後自宅待機が必要な人の所在地及び健康状態の確認システムとしても利用されます。ファストトラックの概要については、こちらの資料を参照してください。

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日本の水際対策、次のステップは?

帰国する日本人にとっては、今回の緩和措置でPCR検査陰性証明書の取得という面倒な手間が無くなりました。証明書の取得費用も高額だったため、大きな変化です。また、海外でコロナ感染したとしても、よほど重症化しない限り、飛行機に乗って帰国することは可能と言えば可能になりました。帰国の判断は、帰国者当人のモラルの問題へと切り替わります。海外の隔離ホテルで10日間療養するか、黙って飛行機に乗って帰国するかは当人の判断に委ねられます。

次のステップはインバウンド旅行者の入国制限の解除になります。個人向けの観光ビザ発給に関しては、解禁する気配すらも見せない日本政府です。一日当たりの入国者数上限が50,000人まで増えますが、まだまだ観光目的の外国人が日本を訪れる環境は整っていません。コロナ前の2019年には3,188万人の外国人が日本を訪れました。2019年度の訪日外国人数の1位は中国です。9,594,300人の中国人が日本を訪れました。2位が韓国(5,584,600人)、3位が台湾(4,890,600人)からの旅行者でした。この上位3カ国で訪日外国人総数の50%以上を占めていました。しかし、厚生労働省は中国製ワクチン(シノバックス・シノファーム)を日本入国に有効なワクチンとして認めていません。中国製ワクチンを接種した中国人は、もれなくPCR陰性証明書を取得する必要があります。中国帰国後の隔離政策は、非常に厳しい措置が継続されています。台湾もまだ厳しい水際対策を継続中です。このことからも、インバウンド需要が活性化するまでは、もう少し長い時間が必要になるでしょう。

入国者上限数が50,000人ということは、一年間の延人数は1,825万人程度で頭打ちになります。このうち半数以上は日本人帰国者です。現状では、日本政府は本気でインバウンド需要を復活させようという気持ちがないことが伺えます。いつになるかは分かりませんが、日本政府が入国者数上限を撤廃し、個人向け観光ビザ発給を再開する時期が、水際対策の次のステップになります。

なにはともあれ、海外渡航を計画する日本人にとって一番の障壁だった「PCR検査陰性証明書」の取得義務が無くなったことは、過去2年半のコロナ下の水際対策と比べれば、飛躍的に緩和された措置となりました。ただし、海外由来の新種の変異株が日本へ流入する可能性も飛躍的に増大されたとも言えます。海外渡航を計画される皆様は、くれぐれもご注意ください。

参考資料(Q&A集)

PDF版はこちらの資料を参照してください。

海外渡航情報は絶えず変化しています!

新型コロナウィルス感染状況の変化により、日本のみならず、世界中の国々が頻繁に隔離政策や出入国情報を変更・訂正しているのが現状です。当サイトでは最新の情報をお伝えするべく、日々情報の更新を行うよう努めておりますが、各国政府の政策発表がその更新スピードを上回るケースも見受けられます。実際に海外へ渡航する予定のある方は、外務省・厚生労働省・法務省・在外日本国大使館・JETRO・JICA・各国の政府観光局・利用予定航空会社などが発表する最新情報を必ず確認していただき、絶えず情報を修正することを強くお勧めします。理由の如何に関わらず、当サイトに掲載されている情報によって生じるいかなる損害についても、編集人および運営会社は責任を負わないものといたします。

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